サバイバル・フレーズブック　The Survival PHRASEBOOKs　世界のどこでも安心して迷子になれるために

今すぐ必要なあなたのための、ライフジャケットのような会話集

想像してください

目が覚めると、私はベンチの上でうずくまっていた。

周囲に人の気配がする。駅の待合室のようだ。私は都内の会社に勤めていて、深夜帰宅後シャワーを浴びて寝たはずだった。それが、なぜこのような場所にいるのだろう。

向かいの人と目が合った。「すいません。ここはどこですか？」相手は答えず、怪訝そうな顔で肩をすくめた。隣りの人に同じ質問をした。彼もまた首を振って肩をすくめた。

(どういうことだ？)　頭の中が白くなった。(とりあえず落ち着け、何かの間違いだ)

ズボンのポケットに愛用のスマートフォンがあった。天の助けと起動させたが、バッテリー切れの表示が、希望を落胆に変えた。

枕代わりの鞄があった。中身は財布とクリアファイルで、財布にはクレジットカードと２０万円相当のトラベラーズ・チェックが、ファイルにはパスポートと何かの書類がはさまっていた。

パスポートもカードも間違いなく自分の名義だ。トラベラーズ・チェックには自筆のサインまで入っている。ますます訳が分からない。

ファイルにはさまっていた書類を開いてみた。Ａ４サイズの薄い冊子で、表紙には『サバイバル・フレーズブック』と書かれていた･･･

ライフジャケットのような会話集

こういう出来事は滅多に起こりませんが、この時『私』が置かれた状況は、川遊びで深みに足を取られた子供のようなものです。水に落ちたら泳がなければいけません。泳ぎが下手でも、泳げなくても、とにかく手足を動かさなければ溺れてしまうからです。

言葉の分からない『私』が、いきなり手ぶら同然で異国の地に放り出されました。

それでも、誰かに事態を説明して、助けてもらわなければなりません。お腹が空いたら、何かを食べなければいけませんし、疲れた身体を休めるために、宿を確保しなければなりません。家族や職場に連絡しなければいけませんし、移動するには切符を手配しなければなりません。何をするにも先立つものが必要です。手元にはトラベラーズ・チェックがありますが、換金しなければ使えません。

もし冒頭の『私』のような状況に置かれたとして、無事帰国するために理屈抜きで必要な内容を備えた会話集があったら、どれほど心強いでしょう。簡潔にして要を得た『ライフジャケット(救命胴衣)のような会話集』を目指したのが『サバイバル・フレーズブック』です。

サバイバル・フレーズブック　シリーズの目的

私はこれまでバックパッカーとして、また電子機器の技術職として、合計七十数ヶ国に渡航しましたが、流暢ではなくても、大した内容でなくても、渡航先の言葉で話す事ができれば、どれほど便利で心強いだろうかと、幾度となく痛感しました。

拙い英語にわずかな現地語を加えるだけで、相手の自分に対する態度が変わるので、何かと協力を取り付けたり、取引を進めやすくする事ができるものです。相手の言葉を使う事は、相手に敬意を払う事ですから、悪い印象を持たれる筈がありません。

とはいえ、本格的な語学の修得となると大変な努力を要します。中学から大学まで１０年近く学んでも、使える英語が満足に身につかないのはご存知の通り。まして、日々の仕事に追われる社会人ともなれば、学習に充てられる時間は限られるでしょう。

『サバイバル・フレーズブック　シリーズ』は外国語を今すぐ必要とされるあなたのための、まったく新しいコンセプトの実戦的会話集です。

サバイバル・フレーズブック　シリーズの３つの特徴

　その１：　ＭＩＮＩＭＵＭ　最小限

本編は実質３２ページで、状況に応じた１６のテーマで内容を統一しており、必要な語句をすぐに探し出せます。全体の分量を絞るため、ユニークな状況を設定しました。ある日突然、手ぶらの状態で異国の地に放り出されたとしても、現地の人々に協力を求めて、無事に日本へ帰るために必要な表現というものです。外国語を必要とする、これ以上に切実な状況はありません。

　その２：　ＳＩＭＰＬＥ　平易

読み・書き・会話が全く出来ない初心者未満『サバイバル級』のユーザーでも使いこなせる内容で、文法も中学１年生の英語で習うレベルです。時制・仮定法・比較級など一切用いず、簡単な平叙文と疑問文で事態を打開します。大学の単位取得や資格試験には足りませんが「この程度なら使いこなせる」と感じていただけるに違いありません。

　その３：　ＰＲＡＣＴＩＣＡＬ　実用本位

とにかく自分の意思や要求を伝えて、協力してもらう事が目的です。そのため、日本語と英語も併記し、仮名読みも添えました。読み上げても、指で示しても相手に伝える事が可能です。シンプルなＰＤＦなので、プリントアウトする事も、スマートフォンやタブレット端末でも表示できます。いざという時に頼れるライフジャケット(救命胴衣)をイメージしています。

自由にご使用頂けますが、紙に印刷して持ち歩く事を推奨します。世界の多くの地域では日本のような良好な通信環境は保障されておらず、スマホやタブレットは依然として高価な電子機器なので、不用意に人前で使用すると、思わぬ災難を招きかねません。